夢が夢なら
2007年 03月 08日
Album 『 刹那』 / 小沢健二 (2003) より
もともと、1996年にシングルとしてリリースされた曲。
転調を繰り返しながら最後にもとの調に還るこの曲は、
日本の四季の移り変わりやさりげない日々の想いを綴った見事な一曲だと思います。
そんなさりげない毎日のなかでふと、嬉しい便りが届いたりします。
先日久し振りに、僕をヨットに乗せて下さった
湘南のヘミングウェイ様からメールをいただき、
そこには素敵な一言が添えられていました。
「まわり道は生きる糧。」
一昨日、僕がまだ詰襟の頃に初めてオーケストラと共演した
「Rhapsody in Blue」という曲を、23年振りに東京の紀尾井ホールで弾きました。
1984年、ロス五輪。
あの山下泰裕氏が柔道で金メダルをとった年。
開会式で84台のグランドピアノという
壮大な仕掛けで奏でられたガーシュインの名曲。
それをテレビで観ていた僕は興奮と感動冷めやらぬまま楽譜を買いに走り、
気がついたら来る日も来る日も遮二無二練習してた。
そしてこの曲をいつか絶対にオーケストラと演奏するんだと願っていたその年に、
武者震いするような夢は意外と早く叶った。
先生が演奏会のソリストとして、僕を推薦して下さったのだ。
やんちゃで怖いもの知らずの僕に、
チャンスをくれたその当時の先生には本当に感謝したい。
学校帰りにパンをかじりながら遠回りした坂道、
裏切り、仲直り、握手、約束、授業をふけて繰り出した街、
電話のむこう、つないだ手、天体観測、尾道旅行、部活、試合、汗、涙、寄せ書き、
挫折、喜び、友、卒業、別れ、未来。
きっとこんな日々は永遠に続くんだなんて口笛吹いてた僕。
1984年と2007年の自分が誇らしげに肩を並べて連弾した夜。
本当にいろんな人達に支えられてここまで来たなとしみじみ思った。
←その当時のセノーです。(笑)
「まわり道は生きる糧。」
素敵な言葉だと思わない?
思えば僕も遠回りしてきた。
大学は二年留年した。
僕が初めてCDを出した年に震災で親友が死んだ。
何もかも嫌になって路頭に彷徨った日々。
自分を見失うくらい闇のなかを歩いた。
きっと彼が生きていたらそんな僕を殴り飛ばして抱きしめてくれただろう。
昨日じゃなく、明日じゃなく、今を生きなければ。
失くしたものを無駄にしないように。
次第に僕は本当の強さを学んだ。
旅先で出逢った空、海。春の花や蝉の抜け殻。
肩を叩いて励ましてくれた人達。
気がつけば、ふとした途中下車で随分と結構な宝物に出くわした。
そんな回り道のなかで出逢えたものは、偶然ではなく必然のような気がする。
数えきれぬありがとうを、今日もあなたに。
by senoo1969
| 2007-03-08 16:33
| 今日の一曲